餃子の思い出
幼稚園の運動会が雨で順延のため、1日ぽっかりと時間ができました。
家の雑事をすませて、夕食は時間があると作る、餃子です。
大きいボウルを窓際に持っていって、雨に濡れる庭をみながら生地をこね、あんを作り、のんびり包んでいきます。あんまりゆっくりやっていたので気が付いたら「おなかすいた!」と言われる時間になってしまいました。
この餃子を教わったのは独身の時に取引先にいた中国の方でした。
「うちの餃子おいしいから食べにおいで。教えてあげる」
と言われてお邪魔すると、親族数人と一緒に待っていてくれました。
その中にひとりの少女がいました。姪にあたる子だそうで、年齢はまだ18歳くらいだったと思います。彼女は吸い込まれるようなきれいで奥深い瞳をしていました。
カタコトの日本語と私の拙い英語で話すと、母親が残留孤児だったそうで一緒に日本に来たけれど、友達もボーイフレンドも中国にいて寂しい、ということでした。できれば帰りたい、とちょっと控えめに話します。
そんな話をしながら作る餃子は、本当に感動するものでした。
生地をこねる時もボウルについた粉を生地で丁寧にぬぐい、あんに入れる野菜の刻んだものも、丁寧に丁寧に、少しも流すことなく無駄を出さずに作るのです。私なんて手に刻んだ野菜がたくさんついたらただ水で流してしまう。なのに彼女はそれをザルで受けて戻すのです。
こういう料理のしかた、材料の扱い方は親から子へきっちりと伝えられていくものです。きっと小さい頃から母親や祖母の家事を見て、自然に身についていったものなのでしょう。残念ながら私にはこういう受け継ぐものをその時全く持っていませんでした。ある意味ショックで、でも料理をするってこういうことなんだ、って本当に驚いたのです。
小さい妹もまるで親のように世話をし、餃子作りも片付けまできっちりとこなす彼女。あまり笑わない彼女は今まで何を見て育ってきたのだろう。これから大人になって、どんな女性になっていくのだろう。彼女がとても心に残ってしまった私。彼女が成長していくのがある意味とても楽しみにさえ思いました。
再会の約束をしてその日は別れ、その後1,2回は挨拶する機会があったでしょうか。
大雨の降るある夜、彼女は東北自動車道で帰らぬ人になりました。
中国で友達との再会を楽しんだ帰り道だったそうです。
餃子を作ると必ず彼女を思い出します。
多分彼女は私の事は全く憶えてないはずだけど、私は彼女からあの1日に沢山のことを学びました。今の私でさえ彼女にはかないませんが、その気持ちだけでも、私は子供に伝えていこうと思っています。
そういうわけで、餃子修行中の次女(5歳)の作品です。
もちろん皮をのばすところからひとりでやってます。
何年たったら使いものになるかな?
by chocolat-chaud
| 2006-09-18 22:17
| まいにち
仙台在住。’作って、食べて、おしゃべり’を楽しむ料理サロン「紫山のごはん会」主宰。フードクリエイター。HP mgohankai.info
by chocolat-chaud
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